このケロンで何よりも驚いたことは食事の美味しさだった。
スープに魚と肉の料理各一品と野菜系の料理が二品というのが基本形で、これにお替り自由な白飯が付く。作ってくれるのは短パンに上半身は裸、従業員なのかお客さんなのかよくわからない、ゆる~い感じの中華系のおっさん達だ。
ちょっと豪華な家庭料理、といった趣の料理は何を食べても外れなく美味しい。中華系の人達はいつもこのようなものを家で食べているのだろうか。思わず、これを食べるためにこのケロンに泊まりに来るのもありかも・・・と唸ってしまった。
食事は同じテーブルの数人で料理をシェアするスタイルで、我々は3人連れの中華系男性と同じテーブルだった。知らない人達といきなり直箸というのは抵抗があるので、そろそろ食事かな、というタイミングを見計らい、毎回合図の鐘と同時に自分の食べる分をお皿に確保した。
ここでの釣りは、大物を狙うというよりはリラックス優先、といった感じで、驚くような釣果を上げている人はいなかった。生餌のライブプラウンなども売っていたし、釣った魚の調理用と思われるバーベキュー台もあったが、それを使っている人はいない。
心地よい風を受けながら、釣り糸の先を眺める。海面近くで日の光を反射してひらひらと泳ぐヒイラギを見ていると眠たくなってくる。簡素な海の上の小屋にあるのはただただ平和で長閑な時間だ。
遠縁の親戚の家に遊びに来たような安らいだ気分で、マレーシアのはずれの海での休日を心ゆくまで楽しんだ。
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