最近町にアニキたちが帰ってきた。お揃いの作業着に身を包み、日中路上や工事現場で働いている。アニキたちとは、シンガポールに出稼ぎに来ている主に南アジア出身のワーカーの男性たちだ。
もうずいぶん前のことになるが、我が家がシンガポールにやってきた時、住むことになっていたコンドが外壁の塗り直し工事をしていた。塗装作業をしていたのが南アジアのワーカーの男性たちで、日中家にいると突然窓の外にゴンドラに乗った彼らが現れるので、慣れるまでは驚かされたものだ。
当時まだ小さかった子供は窓の外に彼らが現れると大喜びで近づいていって、窓越しに手を振ったりにこにこと笑いかけたりしていた。当然ワーカーさんたちにも大人気で、我が家の窓の外を通る時にはいつも笑顔で手を振り返してくれた。彼らは小さな子供には慣れているようで、親戚のアニキたちのような親しみやすさがあった。
そんな南アジアのアニキたちは集団で寮に住んでいて、朝早くからトラックの荷台に乗ってその日の現場へ赴き、夕方にまたトラックで帰って行く光景や、休憩時間に路上で休憩していたりする姿はシンガポール名物の一つだった。
コロナ禍のシンガポールでは、一時アニキたちの暮らす寮で大規模なクラスターが発生したことなどから、工事現場の作業が完全にストップしていた時期があった。毎日大量の陽性者が出て、一時はどうなることかと気を揉んだが、最近ではコロナ以前と同じように工事が進行しているようだ。
町中で働くアニキたちの姿をごく普通に見るようになって、少しずつ以前の日常が戻って来つつあることを感じている。
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