そのおじいさんはよく行くマーケットの果物屋さんにいて、息子さんと思われる男性と二人で店をやっている。
おじいさんを初めて見た時の衝撃はちょっと忘れられない。彼は上半身は裸、そして何故かスーツの下のような長ズボンを着用していて、そこにゴム草履をつっかけた姿で店先に立っているのだ。
息子らしき男性は普通にTシャツ短パン姿なのだが、おじいさんは常にその服装で、それ以外の格好をしているのを見たことはない。
最初の頃は、何か脛を出したくない理由があるのかも知れないと思っていたが、ある時よっぽど暑かったのか、長ズボンの裾を両足とも膝上までまくり上げていたことがあり、その時に見た脛に大きな特徴はなかった。
暑いのであれば、息子さんのように短パンにしたり、タイの路上で売っているような綿素材の長ズボンにすれば良いのではないかと思うのだが、初めて見た時からずっと、彼は頑としていつも同じスタイルを貫いている。
ひょっとすると、短パンなどを着用して脛を常に人目に晒すような破廉恥な真似や、綿パンツのようなだらしのない格好で接客するなどもっての外だ、ということなのかも知れない。
服装にこだわりを持つ人があまり多くないように感じるシンガポールで、ずっと独自のスタイル保ち続けているおじいさんは稀有な存在だと言えるだろう。多分。
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