ある日の午前中、空いたバスに乗り込んだ。
他に乗客はほぼいなかったし、あと停留所4つで終点に着くのを知っていたので、普段ほとんど座ることのない優先席に腰掛けた。そしてふと顔を上げて驚いた。
半島マレーシア?
マレーシアはざっくり言うと半島マレーシアとボルネオ島(同じ島だが南側のインドネシア領はカリマンタン島と呼ばれる)で成っている国だが、半島マレーシアと言えばシンガポールとは橋で繋がっていて、気軽なお出掛けや旅行先だった。
特にシンガポールと国境を接するジョホールバルは通称JBと呼ばれ、隣の県境にある町、くらいな気軽さで平日にもランチとちょっとした買い物を兼ねてちょくちょく出掛けていたのだ。
コロナ禍のせいで一般の人の行き来ができなくなってしばらく経つが、バスの中でつい錯覚を起こすほどマレーシアを欲していたとは自分自身気づいていなかった。
周りの人に、「一体マレーシアに何をしに行くの?」と聞かれればいつも、空気を吸いに行くの、と答えていた。マレーシアとシンガポールでは空気が違うのだ。
近くて遠い隣国を思いながら、マレーシアの空気を懐かしんでいた。
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