Unityはシンガポールのドラッグストアチェーンのひとつだ。この店はNTUC、あるいはフェアプライスと呼ばれるシンガポールの政府系スーパーマーケットの系列店なので、大抵フェアプライスの横にあることが多い。
私が普段の買い物で利用するスーパーマーケットは8割方フェアプライスだが、ドラッグストアは香港発祥のWatsonsを利用することが多いので、Unityにはあまり行ったことがなかった。
そんなある日、たまたま前を通りかかったUnityで、子供のお気に入りのマスクがセール価格で売られているのが目に入った。吸い込まれるように店内に入り、マスクを手にレジへ向かう。
レジの内側にいたのは中華系の若い男性だったが、レジに並んだ客の姿を見て、英語と中国語を使い分けて接客している。この国では英語が公用語として広く使われているし、学校教育も英語+中国語のように英語教育に重きを置いているが、中国からの移民をはじめ、中国語の方が得意な人も案外多いのだ。
自分の番がきたのでレジに近づくと、彼はごく自然な様子で中国語で接客を開始した。
私は中国語を学んだことはないので、一般的な知識としての挨拶や数字などの他はほぼ中国語はわからないが、状況から何を言っているのか推察することができることもある。
合間に挟まれる単語から、フェアプライスのメンバーカードはあるか、と聞いているようだ。私が差し出すと彼はポイント加算の処理をしようとして、こちらを向いて何かを言った。
カードを指さし、明天(中国語で明日のこと)・・・それからいくつかの数字・・・もしかして使用期限が明日までのポイントがあるとか?
とりあえずうんうんと頷いて見せると、彼はレジを処理して支払予定の金額から4.4ドルを差し引いてくれた。その日は月末の一日前の日だったので、やはり失効間近のポイントがあったのだ。
フェアプライスで買い物をする時に有人のレジで会計をすると、失効間近のポイントがある時にはレジのスタッフがすぐさまその旨を伝えてくれるが、普段私はほぼセルフレジでしか会計をしない。レシートのチェックも適当なので、ポイントの期限などは把握もしていない。きっと今までにも気づかぬうちに失効したポイントもあっただろう。
買った商品を受け取りながら謝謝と伝えると、彼もにっこりと笑って謝謝と言ってくれた。
ありがとうUnity。ありがとうレジのお兄さん。何だか全てが上手く行ったような気分で、足取り軽く店を出た。
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